世界の中心でマイを叫んだけども

06,02,12公開ー
日記とか、感想とか、考察とか。
ぼそぼそとつぶやくようにもなりました。http://twitter.com/Kuro_ino
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管理人はこんな人
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管理人が体験した東日本大震災 2011.3.11 22:40〜
※このシリーズは、当ブログの管理人が東日本大震災に遭遇した際の行動と、
 そのときに考えていたことを出来るだけ詳細に、なおかつ率直に書き綴っていくものです。

 当時の震災をミクロな観点で、ありのままに書き綴っていくため、
 意味が分かりづらかったり、嫌悪したくなるような描写もたびたび登場するかと思います。
 
 物語のようにテーマ性があるワケでも一貫性があるワケでも勧善懲悪というワケでもないので、
 その点だけはご了承いただければと思います。


(意外だ)

と思いつつ、私は即座に

「あ、はい。いいですよ」

と答えた。
その上で、

「えーっと、地元の方ではないってことなんですよね?」

と尋ねる。
女性は、無言でうなずいた。

「今晩はこの辺で休息して、明日また改めて地元方面へと向かわれるってことでしょうか?」

ちょっと間を置き、女性はまた、無言でうなずいた。

(うーん、これはちょっとめんどくさいタイプの人だなぁ)

という感想は、もちろん口に出さない。
年齢は推定で20歳からプラマイで2、3歳ぐらい。
線が細く、肩ぐらいまでの髪。顔立ちは非常に整っており、暗い中でも一目で

(綺麗な人だなぁ)

と私の脳に認識させた。
大学生という予想が妥当だろうか、と考えつつ、私は言葉をつなぐ。

「それじゃ、行きましょうか? といっても、避難所ならホントにもう目の前ですよ。
 、歩いて5分〜10分てとこでしょうか」

女性は何も言わない。

(・・・コミュニケーション能力の足りない人だなぁ。
 あ、でも考えてみたら、この状況だからこんな性格になっちゃってる可能性もあるのか。
 地元が大変になってるかもだし、そうでなかったとしても、見ず知らずの人に接近してるワケだから
 色々と警戒しておかなくちゃいけないだろうし)

そこでようやく、自分がずっとフルフェイスヘルメットを被った状態だということに気付く。
歩き出して間もなく、

「そういえば僕のコレ、怪しいですかね? 一応、安全のためもあって脱がないようにしてるんですけど。
 顔が見えないと不安だったりします?」

と尋ねる。
女性は、

「大丈夫です」

とだけ、小さな声で答えてくれた。

「ですか。ならよかったです」

歩きながら、私はしゃべり続ける。

「どちらまで行かれるんでしたっけ?」
「・・・×○、です」
「ああ、なるほど。それはさすがに今から向かうのは厳しそうですね。
 ここからですと・・・5、60キロはあります?」
「・・・・それくらい、だと思います」

なんともたどたどしい会話をしながら、私は考える。

(少し察してみよう。この人の地元まではまだ随分とある。
 で、この人は仙台からここまで来るまでに疲れきってしまったってことか。
 で、他の人とお別れすることにしたんだろうけど・・・それにしたって、
 見ず知らずの、しかもフルフェイスヘルメットのせいでロクに顔を見えない男とよく2人っきりで行動しようと思ったな。
 ああでもさっきの人たちのほうが怖い可能性もあるワケだし、だからといって一人で行動するのは
 もっと怖いだろうし、苦渋の決断ではあったのかな)

職業柄、この女性が襲われる状況やら、果てはこの女性と自分がなんやかんやで恋仲になったりするような妄想もしつつ、
私は前を歩く。

国道に復帰した交差点から北方向へと200mほど行くと、信号のない十字路がある。
そこを右に行けば、もう避難所は目の前だ。
そう思っていた。

(・・・う)

国道から避難所に向かう際、道は一度くだって、そこからまたのぼって、
丘の上に建立された中学校へ向かうことになる。

その、一度低くなっている部分、国道から数十メートル東に行った部分が、
大量の瓦礫によって埋め尽くされていた。

(・・・)

地震発生してからここまでで、私はこの瞬間が、もっとも大きく動揺したように思う。
津波の映像も見た。瓦礫も先ほど直接見た。地元の道路がドロにまみれているのも見た。
けれど、地元に、とても慣れ親しんだ地元に瓦礫が堆積しているのを見たのは、この瞬間が初めてだった。

(・・・・な んだ  これ・・・)

放心していたのは、10秒ほどだったろうか。


「・・・えっと、ここからは行けないみたいですね」
「・・・・・・そうなんですか」
「んー、っと」

(こっちからのルートがダメってことは、当然南側からのルートもダメなわけで、
 海側からのルートは考えるまでもなくダメなんだから・・・)

「一旦さっきのとこまで戻りましょう。あそこから回り込んでいくと、
 南側から山の中を通るような形で行けるハズです」

(南側がもしダメだったとしたら、避難所へ行くのが無理になる?)

無言でうなずく女性を連れて、私は来た道を引き返した。

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