世界の中心でマイを叫んだけども

06,02,12公開ー
日記とか、感想とか、考察とか。
ぼそぼそとつぶやくようにもなりました。http://twitter.com/Kuro_ino
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管理人が体験した東日本大震災 2011.3.11 23:10〜
※このシリーズは、当ブログの管理人が東日本大震災に遭遇した際の行動と、
 そのときに考えていたことを出来るだけ詳細に、なおかつ率直に書き綴っていくものです。

 当時の震災をミクロな観点で、ありのままに書き綴っていくため、
 意味が分かりづらかったり、嫌悪したくなるような描写もたびたび登場するかと思います。
 
 物語のようにテーマ性があるワケでも一貫性があるワケでも勧善懲悪というワケでもないので、
 その点だけはご了承いただければと思います。

体育館を後にした私と名も知らぬ女性は、来客者用玄関から校舎の中へと入った。
さて靴を脱ごうかと思っていたら、玄関には一足も靴が無く、
そして校舎の廊下には一面ブルーシートが敷かれている。
どうやら、靴が無くても入れる態勢にしたらしい。

(ふうん・・・? んー、でもこれ、便利な部分もあるけれど、
 室内にドロとか着いたままの靴で上がることになるワケで、
 土、砂ぼこりとか大丈夫なのかな・・・。病原菌に感染しやすくなっちゃう気もするけれど・・・)

そんなことを考えつつも、とりあえずはルールに従う。

「ちょっと見て回らせてくださいね」

と、女性に向かってやはり独り言のようになりつつ呟き、
まずは玄関のすぐ脇にある階段を昇った。
中学時代、幾度となく昇り降りした階段に懐かしさを覚えながら、2階に到着する。
人がいそうな雰囲気を頼りに、右へ曲がってすぐのところにある図書室への扉を開いた。

暗い室内。
ストーブの灯り。
幾つもの毛布。
それを被る人、人、人。
瞬間的に(ざっと見て10〜15人ぐらいかな)と判断して、扉を閉める。

(図書室だけで体育館以上の人を収容してるんだな)

という情報を記憶しつつ、隣の理科室に向かう。
理科室、技術家庭科室、2年生の教室と見てまわって、大体の状況を把握する。

(校舎の各教室を開放、ストーブはそれぞれの部屋に1個ずつ、
 知り合い同士が固まっている。思ったより新規の人間が入りづらい状態になっている部屋が多い。
 通常教室はまだ空いているようだけれど、この女性としては単独で休むのと
 人に紛れて休むの、どっちがいいのだろうか)

私としても、地震発生からすでに8時間ほど稼働しっぱなしなので、
さすがに少し休憩がほしくなった。

「大体こんな感じみたいですけど、えーっと・・・すいませんよろしければお名前を」
「○×です」
「○×さんとしては、どこが一番よさそうですか? 僕としては、教室のほうが良さそうな気がするんですけれど。
 明日になったら人がたくさん入ってきそうですが、少なくとも今晩は他に人もいなさそうです。どうしても不安なようなら○×さんが入室した後に鍵を閉めちゃえばいいでしょうし。
 この状況なら、理由をキチンと説明すれば怒られることもないんじゃないでしょうか」
「・・・・・・」

女性はずいぶんと考え込んだ後に、

「そちらは、どうされるんですか?」

と訊ねてきた。

「・・・? 僕ですか・・・? あ、いや! あれですよ。もちろん休むなら別の部屋にしますし、
 そもそもこれからちょっと出かけようかなとも思ってたので、そこはご安心をしてもらって大丈夫です! いや、ほんとに」
「どちらに行かれるんですか?」
「あ、あー、えっと、出来るなら自宅周辺を見てきたり、生きてる人がいるなら探してみようかなと」
「今からですか?」
「はい」
「・・・・・・」
(・・・・・?)

なんか急に喋るようになったなこの人、とか、何を考えてるんだろ?
とか思っていたところで、

「あの、それじゃ、連絡先を教えてもらっていいですか?」

と言われた。

「ぅえ? い、いですけど、どうしてですか?」
「・・・・何かあったとき頼れる人が、近くにいないので」
「あー・・・」

考えてみればそうか。
私としては、この女性は避難所の場所だけ知りたくて、避難所が分かったらあとはさっさと
お別れしたい感じなのだろうなと思っていたのだけれど、実際には避難所+誰かがほしかったらしい。

(あれ? でもそれならどうして、さっきの自転車集団の誰かを頼らなかったのだろう。
 意見が合わなかったのかな? 危険な感じのする人でもいたのかな)

などと考えつつも、地雷になりかねない質問は回避することにして。

「分かりました。えーっとじゃあ番号を言いますね?」
「あの、赤外線とか・・・」
「ああ、えーっと、あれ、僕よくわからないんですよね。受信ならできたような気がするんですけど、
 送信はなんかすごくわかりづらいし」
「・・・じゃあ、私が送りますから。番号だけください」
「あ、はい」

言われるがままに慣れない操作で赤外線受信し、こちらは番号と名前を伝える。
なんというか、今後も私が同行するものだと思ってここまで付いてきてくれてたのだとしたら、
ひとり置いていくような形になるのが急に申し訳ないような気がして、
つい、何かしてあげたくなった。

(さっきコンビニで買った何かをあげようか?)

という思いも浮かぶ。

(・・・でも柿ピーぐらいしかないんだよな・・・ピーナッツは確かにカロリーがあるから
 非常食には向いてるんだろうけど、鼻で笑われそうだし・・・そもそも余計なお世話かもしれないし・・・)

と、迷いつつも、聞くだけ聞いてみる。

「あの、よかったらですが、これ、いかがですか? なにせこの状況ですから、
 次にいつ食べ物を口にできるか分からないですし」

結果は、

「・・・・すいません、いただきます」

だった。
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