世界の中心でマイを叫んだけども

06,02,12公開ー
日記とか、感想とか、考察とか。
ぼそぼそとつぶやくようにもなりました。http://twitter.com/Kuro_ino
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管理人が体験した東日本大震災 2011.3.11 23:25〜
※このシリーズは、当ブログの管理人が東日本大震災に遭遇した際の行動と、
 そのときに考えていたことを出来るだけ詳細に、なおかつ率直に書き綴っていくものです。

 当時の震災をミクロな観点で、ありのままに書き綴っていくため、
 意味が分かりづらかったり、嫌悪したくなるような描写もたびたび登場するかと思います。
 
 物語のようにテーマ性があるワケでも一貫性があるワケでも勧善懲悪というワケでもないので、
 その点だけはご了承いただければと思います。


母親からの着信画面を見ながら、思考を展開する。

(やっぱり無事だったのか。どうする。出たくない。この状況で母親と話なんてしたくない。
 このタイミング。避難所に来てたのを見てたのか? いや、だとしたらその場で声をかけるか。
 それとも母親の知り合いに見られていたのか? いや、どちらだったとしても、暗くて確認が出来なかったから、
 こうして掛けてきた可能性もあるか。
 それともただの偶然でこのタイミングなのか?
 出たくはない。けど後になればなるほどウザい雰囲気になるかも。出るか)

通話ボタンを押す。
出来るだけいつも通りにと心がけながら口を開いた。

「もしもし」
「あ、もしもし? 大丈夫だったの?」
「うん。こっちは大丈夫。お母さんこそ無事みたいで良かったです。お父さんも大丈夫なのかな?」
「うん、役場からは離れられないみたいだけど」
「そっか、本当に良かった」
「クロイノは今どこにいたの?」
「――えっとね、」

(どうする? 帰ってきてないことにすれば顔を会わせずに済む。
 でも姿を見られていたとしたら、ウソだとバレかねない。
 それならまだ、これから顔を会わせるほうがマシか)

「中学校に帰ってきてたよ。お母さんは?」
「ええ? ああ、そうだったんだ。よく帰ってきたねえ。いつ頃?」
「ついさっきかな」
「そっかあ。途中とか大丈夫だったの?」
「まぁ、なんとか」
「お母さんも中学校に来てたんだよ。クロイノは、中学校のどこにいたの?」
「1階の教室だね」
「お母さんは理科室にいたんだ。最初は友達と一緒になってたんだけどさ。
 その友達が車で休むことにするっていうから、今はひとりだったんだ」
「・・・そっか」

会話が長引くほどに、優等生のフリをするのが困難になっていく。
異常時の影響か、普段よりもイライラが激しい。

「クロイノはどこで休むつもりでいたの?」
「休むっていうか、また出かけることも検討してたんだけどさ」
「ええ!? 今から!?」
「うん」
「やめなさい、そんなこと! 危ないでしょう!」
「・・・・そうだね」

暗い気持ちが湧く。
それを表に出さないようにしつつ

「とにかくこれから会おう。いちどお母さんの顔を見ておきたいし」
「そうねえ。どこがいいかしら」
「えーっと、体育館の入り口がいちばん分かりやすいかな?」
「はい。分かりました」
「それじゃそこで。いったん失礼します」

乱暴にならないよう、ゆっくりと通話ボタンを切った。

(・・・優等生なら母親のそばにいてあげるのが正しい選択なんだろうし、
 普段ならそれも出来たかもしれないけど、今はムリっぽいなあ。
 この状況で母親と行動を共にしていたら、本当にイライラがマックスになりそうだし。
 ・・・っていうか、アレ? この状況に乗じて母親を殺すこともできるのかな?
 たとえば、一緒に実家の様子を見に行こうと誘って、テキトーな水たまりにでも
 頭を押しつけちゃえば、事故に見せかけれるのかな?
 うーん、でも一度は無事なところを色んな人に見られてるワケだしな。
 さすがによっぽどのことが無い限り、死亡事故なんかには繋がらない気がするし。
 そもそも殺そうとした際に、ぼくの衣服も濡れたりしたら困るか。
 あ、いや、でも、当面の間は警察の捜査なんてまともに機能しないんじゃないか?
 ぼくが地元に帰ってきてることは母親しか知らないワケだし・・・。
 あ、でもダメだ。今の通話を聞かれてたり、これから母親と顔を会わせるまでに、
 誰かにぼくが帰省してる事実を伝える可能性があるか。
 くそ、もっと早く、殺せるかもしれない事実に気がついていれば、
 幾らでもやりようはあったハズなのにな。今からじゃ手遅れか。
 って、ああもう、そうだよ。そもそも母親だけ殺しても意味ないんだって。
 父親も一緒じゃないと。っていうか父親だけ生き残るぐらいなら両方とも生きてたほうがマシなんだよ。
 こんなの何度も、さっきも仙台駅で考えたじゃないか。
 ・・・あ・・・父親も一緒に殺すのは・・・可能か? まず母親を殺して、
 それから・・・・・・いや、ムリか。どっちか片方だけならともかく、
 両方ともなると難易度は跳ね上がるし、あまりにも不自然になっちゃうか。
 母親だけならバレる可能性をかなり低くできるだろうけれど、
 父親はただでさえ体格も良いし力も強いしな・・・うーん・・・なにかないかな・・・)

と、そんな風に、私にとってはそれほど珍しくもない思考を展開しながら、母親との待ち合わせ場所に向かった。

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