世界の中心でマイを叫んだけども

06,02,12公開ー
日記とか、感想とか、考察とか。
ぼそぼそとつぶやくようにもなりました。http://twitter.com/Kuro_ino
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管理人が体験した東日本大震災 2011.3.11 23:40〜
※このシリーズは、当ブログの管理人が東日本大震災に遭遇した際の行動と、
 そのときに考えていたことを出来るだけ詳細に、なおかつ率直に書き綴っていくものです。

 当時の震災をミクロな観点で、ありのままに書き綴っていくため、
 意味が分かりづらかったり、嫌悪したくなるような描写もたびたび登場するかと思います。
 
 物語のようにテーマ性があるワケでも一貫性があるワケでも勧善懲悪というワケでもないので、
 その点だけはご了承いただければと思います。



教室を出てからどこをどう歩いたのかは覚えていない。
次の記憶は母親と邂逅したところから始まっている。

「どこで休む? お母さんの車あるけど、そこのほうがいい?
 クロイノは何で帰ってきたの?」

「原付にしたよ。そっちのほうが小回りが利いて良いかと思ってさ」
「そうなの」
「うん、車で休もっか」

母親の車は、校庭に停められた車群の端のほうにあった。
車の向きや位置関係から察するに、かなり早い段階で到着していたのかな、と思った。
手荷物を荷台に詰め込み、運転席に座る。
リクライニングを倒し、目を閉じた。

「寒くない? エンジンかけたら?」
「僕は大丈夫かな。お母さんは?」
「寒いね。やっぱりエアコン付けてちょうだい」
「うん」

キーを回し、エンジンを始動。
弱めに暖房をかけた。

「・・・ビックリしたね」
「もう、本当にね。地震のときはどこにいたの?」
「東京から帰ってきたとこだったよ。仙台駅でくらった」
「そう。お母さんは仕事場にいてさ。しばらく片付けしてたんだ。
 炉も停まっちゃったから今日はもう帰りましょうってことになったんだけれど、
 クロイノ兄からメールが来てさ。津波が来てるから家には帰らない方がいいよって」
「うん」

余計なことをするなバカが、と思いながら聞く。

「それで、しばらく会社にいたら、一度中学校に避難しましょうってことになってね。
 なんだか街中は水が来てるから迂回しろって指示されて、ぐるーっと遠回りしてね」
「ここに着いたのは何時ぐらいだったの?」
「うーん・・・5時ぐらいだったかなあ」
「そっか。とにかく無事で本当に良かったよ。お父さんとお母さんのことだけがとにかく心配だったからさ」
「うん・・・家は大丈夫かなあ・・・」
「・・・」
「お父さんはね、古い家だから、とにかく重い造りになってるから、流されたりはしないだろうって言ってた。お母さんもそう思う」
「そっか、そうだよね」

(ああ・・・やっぱりこの人達はどうしようもないくらい楽観的で、
 現実が見えない馬鹿なんだな・・・)

「うん。後はネコだけ心配なんだけど、でもあの子のことだから、2階に逃げてくれてると思うの。
 明日までぐらいは大丈夫だと思うんだ」
「そうだね」

(実家はほぼ間違いなく消失している。ネコも死んだ。確認も確定もしていないにせよ、
 予めそう考えていたほうがダメだったときのショックが少なくて済むのにな。
 本当にこいつの思考回路は腐ってる。何て返答したらいいかな。
 ここで正直なことを言っても意味が無いし・・・そっか、この流れを利用すれば)

「お母さん、僕、やっぱり今から実家の様子を見てくるよ」
「え? どうして?」
「やっぱりネコのことが心配なんだ。たとえば体が津波で濡れちゃってたりしたら、
 明日まで保たないかいもしれない。それでなくても、どっかが開いてたりしたら、
 外に逃げちゃってるかもしれないし」
「・・・・」

(うんいけるなこの感じなら)

「こんな状況だし、ホントはお母さんのそばにいたいんだけどさ。
 とにもかくにも、お母さんの無事は確認できて、今後もひとまずは大丈夫そうだし。
 だから今は、ひょっとしたら一刻を争う状況にあるかもしれないネコを助けたいんだよね」
「・・・・・そう。分かった。気をつけて」
「うん。家の状況だけ確認して、確認ができなくても危ないと思ったらすぐに引き返してくるよ。
 1時間ぐらいで戻ってくるんじゃないかな? お母さんは先に休んでて。
 車の鍵は閉めちゃってたほうが良いんじゃないかな? 戻ってきたら窓をノックするからさ。
 ひょっとしたら僕はやっぱり教室とかで休むことにするかもしれないけど」
「・・・うん」
「それじゃ、行ってきます。荷物は置いていくね」
「はい。本当に気をつけて」

扉を開けて、外に出る。
無事に母親と別行動を開始できたことに安堵しつつ、私は車を離れた。

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